Mēdeia1.0(メーディア)とは思いがけない出会いだった。実は2月に行った、題府基之さんが手掛けるSection Magazineのイベントの企画を進行して頂いたのが東京を拠点に活動するファッションブランド、Mēdeia1.0のディレクターを務める鈴木さんという人物だった。
4月に行ったポップアップで東京に行った時、本人とお会いすることができた。鈴木さんはブランドのクールなイメージとは裏腹に、とても暖かくて熱意のある方で、僕は心を打たれた。我々と見ているものや好きなカルチャーも似ていて嬉しかったし、波長が合った気がした。そして偶然にも、僕と前職が同じ会社だったということが発覚し「すごい縁ですね。」と笑い合った。
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Mēdeia1.0のラインナップは、hibiの取り扱いブランドと比べるとシンプルなデザインが多いが、これはブランドのコンセプトを忠実に表現している。Mēdeia1.0はファッションをメディアとして捉え、社会問題や世界情勢などを発信していくことを目指しており、売店の新聞紙を買う感覚で手に取ってもらいたいという願いが込められている。なので、デザインもどんな人でも親しみやすく、身につけることで誰もが時代の一員になれるのだ。ファッショナブルな人にも、あまり服に関心が無い人にも溶け込んでいく服。さっぱりとしたイメージのマーチャンダイズブランドに見えて、その裏には濃いバックボーンが込められているのが僕は好きだった。
by Osamu Kanemura
by Mason Newman
by Midori Komatsu
僕はふと、このブランドの代表格であるTシャツという物の存在について少し考えた。何着あってもいいとよく言われ、気軽に着られるものでありながら、Tシャツほど選択次第でその人の趣味だけでなく主義主張まで無防備に透けて見えてしまう洋服はないと思う。Tシャツは表現のツールとして度々使われることがあり、例えば好きなミュージシャンのTシャツを着ることで共通の仲間とつながりを持つことができる。中学生の頃、好きなNBAチームのTシャツを着て出かけたい、気付いてもらいたいという感情があったこと思い出す。そう考えるとTシャツは、SNSが生まれる遥か以前から“つながる“事への欲求を満たす原始的なコミュニケーションツールとして機能していたのかもしれない。
Mēdeia1.0が展開する服の数々は、メッセージ性が込められてるものが多く、それに共感する人とフィジカルのつながりを持つことができる。それがいずれ大きいメディアのかたまりとなって、世界中のどこかに少しでも働きかけられたら幸せなことだと思う。
定期発行している出版プロジェクト「Mēdeia2.0」世界中の写真家をピックアップして写真集を製作している。
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仕掛け絵本のような仕様で視覚的にもワクワクする。
ありがたいことにMēdeia1.0を取り扱うにあたって、スペシャルアイテムを製作して頂いた。せっかくやるならいい物を作りたいと思い、どんなアイテムを作ろうかとやり取りを重ねていく中で、鈴木さんからとんでもない言葉が飛んできた。「ずっと僕が温めていたESPOのグラフィックを使いませんか?」と。といえば、Aaron Rose率いるAlleged Gallery出身のアーティストで、そこには他にEd Templeton、Susan Cianciolo、Mike Millsといった当店でもゆかりのあるアーティストも名前を連ねていた。即答で「やりたいです!」と伝え、トリプルネームの夢のようなコラボレーションが実現した。
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その時送られてきたESPOのグラフィック。やばい!
Mēdeia1.0は基本的に全てのグラフィックデザインを、デザイナーやアーティストと協業で作っている。今の時代を生きているクリエイターが参加していることに意義を感じるし、それによってメッセージの力が何倍にもなることは確かだと思う。
今回、ESPOのグラフィックでフーディーを製作したのだが、それは我々がいま“何をみているか“を表明するための役割を果たしてくれそうだ。ESPOがたまたま当店が取り扱っている物と結びつきが強いアーティストであったことは奇跡的な巡り合わせだと感じている。
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ESPOのサインは後ろにさりげなく入っています。