Cortile

ほとんど新規のブランドはインスタから探してきます。インスタがなかった世代の人からしたら、変なバイイングです。でも僕らの世代はそれが当たり前になっていて、インスタで面白そうなブランドはオンラインで買うか、実物を見にいく。という作業をずっと繰り返しながら、今の気分にあったものを探していきます。

そうやって見つけていくこと、それを誰かに提示することが、ずっと好きでお店やれてます。

hibi,罅,日々,HiBE(ヒビって実はハイビとも読むんです笑)

この作業を続けていくと、たまに “?” と、自分のこれまでの経験からでは、整理するのが難しいものに出会う時があります。今回ご紹介する新規ブランド E RT はまさにそうでした。初見だと何か分かりにくいし、その時はアイテムを見てもピンとこずスルーしました。このしょっちゅうやっているブランドディグは、ほぼ感覚でやっているので、いいものを見つけたとしても、今までの経験から何かと比較する、何かっぽいという単純な考えしか脳にない。だから一旦保存しておいて、また見返すというのを行います。

ちょうどそのタイミングで、ビジネスパートナーの佐々木からも同じものをどう?と言われ、NYCに行った際にもブティックLRCでこのブランドを見かけました。たまたま買う前に実物を見れたのも運が良かった。その後見返して激情しました。

難しい映画やアートを見た後に、初めはさっぱりわからなかったものが後々リサーチして、点と点がつながって興奮する感じ。そうこう紆余曲折した末に取り扱いしたいと思えました。    

右 : E RT Designer Giulia Terzi 左 : Art director Giovanna Chiades

イタリア・ベルガモを拠点にしているE RT

ベルガモは、ミラノの隣、ヴェネチアとミラノの間に位置する都市です。デザイナーであるGiuliaが、天然素材を用いて、消費者・生産者・動物に尊厳を持ち、オーセンティックな方法で、制作しています。

またこのブランドのホームページには、彼女がデザインした洋服というよりは、マテリアルの生産地や製造工程といった洋服が出来上がるまでの裏書が、実際の洋服のイメージよりもはるかに大きい割合で説明されています。洋服のイメージは、オーバーレイされてどのような服だかほとんどわかりません。

これは彼女が出来上がったもの以上にプロセスやそれまでのリサーチを大事にしているということを表現しており、オーバーレイした画像は、他者の視点は自分の視点と違う、または様々な視点で確かめてほしいと訴えかけているように感じます。

 

不意に現れる虎のマスコット・左下の羊マークをタップすると表示されるイマジネーションフォト、その隣のニュース記事など、他のブランドが写真を用いて表現するものを独自の方法で、ホームページに落とし込んでいます。

子供の時に読んでいた仕掛け絵本みたいで楽しい。分かりづらいホームページですが、ぜひ拝見してみてください。

     

今回のコレクション kingdom 02では、厳選されたメリノウールとシェトランドウールを使用したニットのみの展開。全てのアイテムに、生産に関わる工程や素材の生産地などの細かい情報が記載されたインフォメーションシートが付属しています。

この手のハイクオリティな素材を使用するデザイナーは、オーセンティックなものを作るイメージですが、E RTのデザイナーGiuliaは、やはりファッションデザイナーとして、着用者に魔法をかけるような可愛くてワクワクするデザインのニットをたくさん展開しています。上品なものからキッチュなものまでさまざまです。

アイテムの詳細は、ブランドのアイデンティティもふまえて、控えておきます。なにより実物を見るほうがスムーズかと。

また今回このブランドをローンチするとともに、原材料や製品の背景を探究するデザイナー CHIRISTIEN MEINDERTSMA、デザイン分野を形成する生態学的、歴史的、政治的、社会的要因を調査することをベースにしたデザインスタジオFORMAFANTASMAの書籍 “PIG 05049”と“OLTRE TERRA”も並べます。

E RTとは違った分野のデザイナーですが、動物をバックヤードにする書籍として、関連するものがありました。是非こちらも併せてお話できたらと思います。

まだまだ暑い日が続くので、ご来店は夕方ごろをお勧めします。ニットですし。    

  
     
木原

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