ヨーロッパ、特にイギリスでよく見かける掃除機にイギリスのNumatic社が製造する「Henry」という掃除機があります。近年ではワイヤレスの掃除機やダイソンなどがありますが、「Henry」は有線で、更に大きい見た目でありながら、先月イギリスで滞在したホテルは勿論、空港やショッピングモールなど至る所で現在も使われています。ボイラーの内部を掃除しても壊れない丈夫な作りとシンプルな構造、そしてアイコニックな見た目が愛され続ける理由だそう。

マイケルの展示にも使用されていた「Henry」

Numatic社の「Henry」は日本人の僕からすると印象深い存在でした。しかし、イギリスの人々からみると、それは特別なものというより、日常に溶け込むユビキタスとして、長年生活を支えている道具であるように感じます。

同じくイギリスのプロダクトデザイナー マイケル・マリオットが制作するプロダクトも同様に日々の暮らしを静かに豊かにするものとしてデザインされているようです。

マイケルがデザインするものは、必然的にその都度デザインされているものが多い。例えば取扱のある「Lobo」は、レストランの調味料入れとして、「Ola」はカフェに合う曲木椅子がなかったという理由でデザインされました。彼の制作は、必要なときに、必要なものを制作しています。だからこそ制作から梱包まで自ら行い、自分の身の回りで完結できるローカルな範囲で日々活動しています。


彼の指針となっているE.F シューマッハーの「スモールイズビューティフル」仕事は人を成長させるものと主張し、ローカリズムや小規模事業、手仕事への尊重、そして「Small is Beautiful」という言葉と共に戦後の主流経済学を批判している。

また彼はオンラインショップ「WOOD METAL PLASTIC」を立ち上げ、そこでは彼がデザインした以外のプロダクトも並べています。美しく作ろうとしたわけではない、自然とそうなった形のものが販売されています。それは日本の民藝運動のよう。

ロンドンでマイケルとお会いした際に、尊敬できるデザイナーとしてアキーレ・カスティリオーニの名前を上げておりました。また、取り扱いのあるデザイナーアルド・バッカーも同じく彼の名前を挙げていました。

デザインの先生であり、プロジェッティスタとして知られるカスティリオーニの仕事は、デザインの基礎となるアイデアの引き出し方や素材使い、更には社会性を帯びたアイロニーを含んだものとして知られています。出自の異なる2人のデザイナーが同じ名前を挙げていたことは、とても興味深いものでした。

hibiではグラインダー「Atlas」、自転車のリムから作った「700C」、伝統的な曲木椅子を引用した「Ola」など、hibiが取り扱う他のプロダクトに適したラインナップで選んでいます。オブジェクト同士が並んだ時のコミュニケーション、調和、そうした関係性も含めて、是非店内でご覧いただければと思います。

笑顔が素敵な方でした。

Michael Marriott (WMP)

Michael Marriott Interview

木原