かんかん照りの日々が続いていますね。外出する気力も失う、うだるような暑さです。
このせいで夏のスタイリングには苦労します。重ね着ができない、スタイリングを通して技巧を凝らすことができない分、どのようにシンプルで素敵なフォルムに仕上げるかを意識していましたが、今期から始めたsantangeloのおかけで、ジュエリーの重要性に改めて気付かされました。まだまだファッションの探求は尽きないものです。
こちらはMNZのLINK BELT。初めて買ったキラキラアイテム。どうやってもこのキラキラがスタイリングを台無しにしますが、逆にそれが気に入っています。
さて、今回は洋服のブログではなく、新しくお取り扱いを始めた陶芸作家 金井悠さんのお話。金井悠さんは、身体や人との接触に着目し、即興的なパフォーマンスを披露する集団「contact gonzo」の元メンバーであり、現在は京都京丹後を拠点に「出土する玩具」というテーマで作品を制作しています。出来上がる作品はどれも遊び心のある形状や素材で、実際に触れて確かめたくなります。
金井さんの作品には、出土する玩具というテーマから、さらに細分化して、いくつかのシリーズがあります。今回はそのシリーズの一部を説明したいと思います。
まずはこれ”stratum”
Stratum(地層)はその名の通り、地層をイメージして制作した作品です。顔料を混ぜた液状の土を石膏型に流し込み乾かして流すという作業を何度も行い、出来上がったものを削り出していくことで生まれる柄です。上絵や下絵のように上から模様を描くのではなく、彫っていくことで柄が生まれます。地層のようでもあり、年輪のようにも見える柄は、丸みのあるフォルムとともに、微生物のように動き出しそうな雰囲気があります。
何種類もの色を混ぜ合わせた花器や、黒で統一されたコップに加え、今回は特別に白とグレーを使用したプレートを制作していただきました。よく見ると曲線で縁取られた何層もの土が、コスモを感じる素敵な作品です。これに何を装うか想像するだけで料理が楽しくなります。
お次は”Ephemera”
エフェメラとは、一時的な印刷物(ポスターやチラシ)を指す用語で、長期的に存在しない儚いものに使う言葉です。このシリーズは、皺をつけた紙のパーツを組み合わせた石膏型を使用することで、紙の表情をそのまま磁器の表面に写しとることが出来ます。皺という刹那的なものを、磁土を用いて半永久的に表現した作品です。一般的に織物などでしか見ることが出来ない皺が、コップに表れるさまはコップ自身も儚いもののように見えてきます。
最後は”bukubuku”
このシリーズは土そのものに膨張やひび割れといった現象を生じさせているようです。実際にそんなことができるのか不思議でなりませんが、実物はとても面白い表情をしています。また中は塩ビ管をかたどった筒が刺さっており、出土する玩具を表しているように感じます。インパクトのある力強い作品です。
どれも一見すると作風が異なるようですが、金井さん自身が常にマテリアルと真摯に向き合い探求した結果のように感じます。じっと見つめあってこそ生まれた数々のシリーズのようです。また一貫して、動きのあるものを、磁土を通して半永久的なものへと転換しているように感じます。
僕もこんな大暑の時にこそ、たまには家で自分の大事なものとじっくりと向き合いたいなと感じさせられました。僕みたいなアホでも何か気づきがあるかも知れません。
お店に来ていただいた方には、麦茶くらいならお渡しできます。涼んでゆっくりと金井さんの作品を見ていただきたいですね。たまに店前のおじいちゃんがアイスも持ってきてくれますよ。
木原
京丹後の作業場。たくさん製作しても、納得がいき店頭に並べれるのはごく僅かだそうです。
石膏型がたくさんありました。
ちょうどブログを書いてたら持ってきてくれた。
金井さんのコップでいも焼酎なんて最高ですねー。