hibiで取り扱っているジャンル、とりわけ洋服の枠でいうとファッションブランドが作る洋服には稀にどこの誰をターゲットに作ったんだろうというのがワンコレクションに幾つか存在する。

デザインというよりも「自分が欲しいものを作りました」といった主観的なものづくりとして所謂ファッションデザインというよりもファッション、洋服というツールを使ってアート、表現を行うような感覚に近いのかもしれない。そこには、決まった仕様や機能といったものは削ぎ落とされ、作り手の立場に立ち、考え、思考するよう促される。答えのない問いとして、使用者にその存在理由や洋服でいうところの着こなしは委ねられる。そういった類のアイテムは、一般的に躊躇され、難解に捉えられることもしばしばだが、これまでの固定概念を一旦取っ払い、子供のように無邪気に真摯に向き合うと案外楽しい。

hibiで扱うニットウェアブランド E RTもまたその一面を孕んだブランドとして、健気に自由な精神をもってものづくりを行っている。E RTはスコットランドのシェットランド諸島に生息するシェットランドウールと、メリノウールの中でも繊維が細く滑らかなエクストラファインメリノヴァージンウールの2種類のみを使うファッションブランド。天然素材の2種類のみと聞くと、所謂ハイクオリティに特化したライフスタイルブランドを想像するが、このブランドは違う。

全てのアイテムに仕様などの詳細が記載されている。

その中でも今回紹介するニットTはその主観的なものづくりと客観的でフレキシブルな側面も備えた丁度いいアイテム。ニットTと聞くと、「ニット素材なのに長袖でもない」といった、どの場面でいつ着るのかと、不思議がる人も少なくない。しかし三寒四温のこの時期になると昼間は暖かく夜は寒い、暖かくなってきたと思うと急に寒くなる、この冬から春にかけての移行期間にシームレスにフィットするのがニットTだと思う。

E RT No19 Merino Tee × fig. The long sleeve T-shirts in deep well

E RT No19 Merino Tee × fig. The long sleeve T-shirts in clay

シャツやロンT、hibiのラインナップだとfig.のロングスリーブが最適だろうか、また中にニットTを着て、アウターを着ると丁度いい。ニュージーランドで育った上質なメリノウールは素肌で着ても嫌にならないくらい滑らかな着心地が備わっている。形はあくまでベーシックなラグランスリーブのTシャツ。

カラーは「Havana」
バーガンディよりも深みを帯びた、静かな気品を感じさせる色味。

だからこそインナーにパーカーを忍ばせたり、自分のワードローブを連想させながら楽しんでもらえたら。もちろん春になると1枚でも様になる。洋服を着る以上に、考えながら纏う。そんな感覚を楽しんでもらえたら嬉しい。

木原