どもども、ご無沙汰しております。hibiの木原です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。僕はいつも通り、人に会いに色んな場所へ顔を出しています。今書いているのも、電車とか、ちょっと時間が空いた際に少しずつ書いています。
hibiで昨年イベントを沢山して、今年は落ち着いてイベントをやらずに過ごそうかなと思っていましたが、そんなわけにも行かず、やりたいことが沢山出てきてしまい、半年ぶりのイベントです(ちなみに今月もう一回あって、来月も開催予定)

明日からアーティストriku shinagawaの展示を行います。彼とは、あるデザイナーの展示会に訪れた際、そのデザイナーが使用したスペースがリクさんのスタジオだったというのが始めての出会い。
ジュエリーを制作していますと言いながらも、そのスペースもほとんど彼の手によって改装したものというジュエリーアーティストなのか、それとも大工なのか、とにかくなんでも自分でこなす器用な人なんだというのが初めての印象でした。

彼のことを考えていると、抽象作家ではないか、という考えが不意に頭によぎったんです。抽出する、いわゆる引出しがリクさんの頭にはたくさんあって(経験や記憶だけでなく、ふと目にした風景や素材の感触、言葉にならない気配のようなものも含めて)、その中から象(すがた)を見出しているよう。一般的な意味での抽象芸術とは異なるかもしれませんが、彼の引出しの未知なものを外へ取り出す。その結果生まれるものは、ジュエリーなのか彫刻なのか、あるいはプロダクト、作品なのか。
そうした形容し難いモノとして抽出したものが、彼の魅力になり立ち上がっているように感じています。

引出しといえば倉又士郎の引出しが頭に浮かびますが、あれも倉又士郎の夢や記憶、断片的なものを収納するあるいは引出し自体が何を収納するか決定する、人というよりも家具が自立していくような感覚で制作しているように感じるんです。
倉又士郎の引出しに感じる、何が収められているかわからない不穏さや魅力と、リクさんの作品群にみられる一つのテーマへ回収されないランダムさが、不思議に繋がってるように感じています。だからこそ、その奥にまだ見ぬ引出しの存在を想像してしまう。

今回の展示はそんな彼の引出しの中から、ラグジュアリーとしてまた形式的なものとしてしか存在していなかった印台(シグネット)を指輪の形に留めたまま、鍛造技法でつくり続けたことにより生まれた新たな形をしたリング。

表面的には工業規格のような形を形成しながら、そこには彼の審美眼と彼らしいパーソナルな視点を繋ぎ止め、金属を直接手で触れてきたからこそ生まれる手作業の繊細なゆらぎや痕跡が、心地よく詩的に美しいフォルムとなって表出したアルミニウムベンチ。
またアルミニウムの足と背の部分にのみシルバー塗装を施すことで座面との差異を作り、機能とは別の視点を与えているようにも感じています。現実の中にある虚構を映し出すような。アートとしての側面も持ち合わせているように感じています。

もう一点、ご紹介できていない作品もございますが、そちらは店頭でご覧いたたげれば。それもかっこいいですよ。展示は明日金曜日から日曜日まで。riku shinagawaの引出しにある未知なものを是非楽しんでご覧いただけると嬉しいです。

(会場) hibi
(会期) 2026年6月5日(金) - 2026年6月7日(日)
(営業時間) 11:00-19:00

*6月7日作家在店

木原