今年の春夏から新規に取り扱う「SONO」は、ロンドンを拠点にStephanie Obergと Simon Homesによるレーベル。2001年にStephanieのあだ名であるSonoから「VON SONO」をスタート。2019年にSimonに出会い、彼をビジネスパートナーに加え「SONO」として改名しています。

ロンドン、ハックニーにあるスタジオ兼ショップ
彼らは公私共にパートナーであり2人の子供を持つ親という肩書も持っていて、その子供をきっかけに、洋服について、またマテリアルについて改めて再考し、彼らはよりマテリアルを重視したレーベルとして生まれ変わりました。
ヨーロッパやアメリカ、アジア、日本、グローバルに展開しつつも、少数のメンバーで構成され、環境を配慮した非常にクラフト的な生産背景。
ブロードはイタリアのヴェネト州、デニムはイタリアのロンバルディア州、プリントはイタリアのコモ湖の伝統的な家族経営の工場。織りからプリントに至るまで、その全てが可視化されています。
また彼らが洋服を生産する工場は、イギリスとフランス。イギリスでは、彼らが拠点とするハックニー近辺の小規模工場と職人。そしてフランスではロワール渓谷にある工場で生産し、職人の名前を全て把握しているそう。

彼らの徹底ぶりはこれだけではなく、化学繊維は一切使用しないうえ(洋服の生産だけではなくショッパーから包装紙なども含む)、発送の際はDHLの"Go Green Climate Natural"を使用しています。そして廃材を極力減らすため、残った端材を使用し、ベビー服の製作なども行っています。
こうした背景には、彼ら自身がファッション業界の裏側を知っているからこそ。「メゾンブランドのプレスリリースにはほとんどの場合、クラフトについて記載されているが、それは本当のクラフトなのか」と話すサイモン。またドイツ人であるステファニーは、「ドイツ語ではクラフトは職人を指し、英語圏、特にファッションの中で何がクラフトなのか曖昧」と話す。

SONOのデザイナー Stephanie Oberg
どこまでがクラフトと呼べるのか、彼らはBLESSや、Lemaire、The Row、Kapitalなどで経験を積み、その経験値をもとにSONOというフィールドの中で自分たちが思う本当のクラフトを貫いています。ブランドイメージを高めるためのキャンペーンやセレブへのギフティングなどは行わず、全てを洋服の生産に注力している。これが彼らのクラフトであり、ブランディングと信じて。
コレクションのルックなどは全てスタジオで行い、モデルもほとんどが友人たち。
海外の情報サイト BLACKBIRDSPYPLANEで、インタビューが掲載されています。
彼らのスタジオに訪問してみると、ファッションに対して批評的でありながら、とても温厚でチーム全体が家族のようなムードが漂っていました。ロンドンといえばKatharine Hammnet、や、Alexander McQueen 、House of Beauty and Culture、WORLDS ENDなど、ファッションマガジンだとDazed や I-Dといったファッションシステムに赤裸々にグラフィックやスタイルを通して批評してきた土壌があります。
そうした文脈の中でSONOは、声高に主張するのではなく、反論するわけでもない。小さなスケールの中で、自分たちの立ち位置を認識しながら、その姿勢を貫いています。

スタジオ内には洋服と共にステファニーが蒐集してきた彫刻が鎮座していた。

異なる平行世界の中で生まれるアティチュードはとても優しく、包み込むような感覚に近い。実際に袖を通すと、その包容力が洋服にも纏っているように感じます。横に大きく膨れ上がる丸みを帯びた袖と、広い身幅。ある種の安心感を含んだ洋服。僅かなズレで大きく印象が変わるポケットや襟の形。気づかれなくてもいいような小さな差違は、彼らの姿勢と共鳴するように洋服へと落とし込まれています。
1人だけではできない、サイモンとステファニー、そしてチーム、生産者、全員によって生まれる服。その関係性そのものが、SONOの洋服を形作っているように感じます。



SONOのプリンセス的存在というZUKI。

