私たちは日々、何かを選び取って生活している。こうして久しぶりにジャーナルをしたためている今も、今日の晩御飯に何を作ろうか、とか、明日は何を着ようか、とか、頭の中の数ある選択肢の中からひとつの世界線を選び取ろうとしている。
別に今日の晩御飯が鯖の塩焼きだろうと麻婆豆腐だろうと特段その後のパフォーマンスに大きな違いはない。日々繰り返すルーティンの中の気分的な選択。
それでも、選ぶことによって、もとの選択肢に戻ることのできない、不可逆な選択もあるように思います。
乾燥機付き洗濯機、オーブンレンジ、コードレス掃除機、fig.のロンT、Mephistoのレザースニーカー。
どれも数あるカテゴリーごとの選択肢の中から選び取ることで、それ以前の生活に戻ることのできない快適さを与えるものです。
実際、不可逆だと思って手に取ってみたもののそうではないものも世の中にはごまんとあります。そういうものは大抵、贅のためにありもしない虚構の需要を満たすためのものです。その見極めはやはり経験を通して審美眼を養うしかないのかもしれない。

COSMIC WONDERのIndian Running shirtは、僕なりの審美眼を通して見た、不可逆性を持った快適さを与えてくれるアイテムです。常夏のインドならではの伝統的なタンクトップから引用されたこのアイテムは、COSMIC WONDERらしいオリエンタルな神秘性を帯びたプリミティブなインナーウェア。コットン80%ラミー20%のシャツ生地のようなハリのあるボディに、付された深いポケット。機能的でありながらも最小限のシームで構成されたミニマルなタンクトップです。
昨年、あるブランドのタンクトップを手に取りました。それまで、UNIQLOや無印良品のものを1〜2年着倒しては買い替えるといったサイクルで生活していた僕からしては、なかなかに値が張る買い物でした。そのタンクトップを手に取ってからというもの僕のインナーウェアに対する考え方が180度変わりました。元々、インナーだからと割り切って消耗品として認識していたものを、ワードローブの中の洋服の一つとして考えるようになりました。一枚で着ても恥ずかしくない、そんな洋服。僕のインナーウェアに対するコペルニクス的転回がそこで起こっていたのかもしれません。
実際、認識が変わってからというもの、スタイリングの幅、特に夏季においてはその選択肢が一変しました。シャツの中に仕込むのはもちろん、カットソーの上からベストのようにレイヤードしたりと洋服で夏がさらに楽しくなりました。

fig.のロンTにタンクトップ。まだ肌寒い最近のオーセンティックスタイル。

シャツの上からだとベストのような表情に。


桜色は春の差し色として。

シャツ生地のようなハイゲージのコットンラミー生地は、インナーに入れても存在感がある。夏が待ち遠しい。
タンクトップへの目線が変わった今の僕は、多分元の消耗品を選ぶ生活には戻れない。この選択は贅ではなく、日常生活に真摯に向き合うための、いわばアップデートであると。
COSMIC WONDER-Indian running shirt