前シーズンから取扱い始めたSONOですが、秋冬も立ち上がりhibiの中でも頭角を表すようにただならぬ出立で店内に並んでいます。1月のパリでみた彼らの洋服がようやく並び、店内はすっかり秋冬ムードです。

昨年のパリ。SONOの展示会にてTAMOU TROUSERSにfig.のピスタチオ。
春夏のご紹介では彼らの信念や背景をお伝えしましたので、新規でお読みいただく方、もう一度彼らのことを知りたいと思ってくださる方はこちらも是非ご一読ください。
僕は真面目な性分でして(自分で言うな)、ついついお客さんに似合う似合わない関係なく、「これはこういうブランドで、、」とあーだこーだ喋ってしまいます。僕は洋服が単純に「似合う似合わない」とかの表面的なものではなくて、それをどういう意識で着るのか、何と合わせるか。そういうことによって、その服がその人に当てはまるかどうかは変わってくる。だから極端にいうと似合わない服なんてないんじゃないかと思っています。
最初は少し違和感があっても、挑戦してみて、どう似合うのか手探りで考えていくプロセスが、その服を着る面白さとなり、似合うようになってくる、と思っています。
僕らが接客の中でよく使う言葉に、「長く着用できる洋服」や「愛着を持って共に暮らしていける洋服」というものがあります。どんな洋服にも使える便利な言葉で、ある意味売り文句として使われることも多い。実際に購入したものの、思っていたほど着なかったという経験もあると思います。
でもhibiで扱う洋服はそれを自信を持ってお伝えしています。もし着なくなった、最近着れなくなったという場合があれば仰ってください。どうやったら今の気分に当てはまるか一緒に考えましょう。
COSMIC WONDERは彼らの精神性を宿った衣服として彼らが思う普遍的な洋服を提案しています。BLESSは対象となる年齢を広げることでファッションの自由な装いを幅広い人へ向けて制作しています。そしてSONOは「素材」という最も根源的な部分からそれを実践しています。ファッションを作る人にとって、ブランドは大きく二つのあり方があると思っていて、自分のために洋服を作る人と、他者のために洋服を作る人で分けれると思うんです。彼らは間違いなく前者で、自分たちが着たいと思う洋服を作り続けているように感じます。
その中で今回ご紹介するSONOは、奇をてらったアイデアやデザインではなく、素材そのものに時間と手間をかけることで、長く着ることができる洋服を作ろうという姿勢が表れています。
例えばPABLO PARKAやBO BOMBERに見られるダブルフェイスのリサイクルウール。

PABRO PARKA
強く撚りをかけたウール糸を通常よりも多く織り込むことで、高い密度と厚みを持たせています。またSONOの衣服は全て平均的なテンションとと比べて約3倍まで糸を強くしているそうです。
これはラグジュアリーブランドなどでみられる柔らかくドレープする高級感のあるダブルフェイスとは異なり、しっかりとした重量感とハリを備え、立体的なフォルムを生み出します。
そしてSONOのそれは着始めが完成形ではありません。一般的なダブルフェイスは、着用した当初から柔らかくドレープするものが多い。一方でSONOのダブルフェイスは、着用を重ねることで生地の持つ密度と存在感は残りながらも、柔らかさが増していき、時間と共に身体へと馴染んでいきます。時間をかけることによって、衣服と身体との関係が変化していく。それもまた彼らが考える「長く着る」過程の一つだと思います。
またこのリサイクルウールは、古い100%バージンウールのセーターを繊維に戻し、再紡績、糸を作り、ダブルフェイスを作るという過程でテキスタイルが出来上がっています。イタリア・トスカーナの職人さんに依頼し、職人さんとデザイナーが考えるレベルを満たすまで半年ほどかかったそうです。
新しいウールを紡績し、糸にすればコストと労力がかからないものを、あえて環境に配慮したものづくりを行う、妥協のない姿勢には、素直に敬意を感じます。
これはあくまで一例ですが、その他にも5年、10年という歳月をかけて制作されたアイテムなど、時間をかけて、丁寧に真摯に服と向き合うことで生まれた作品を作り続けています。
また彼らの生産背景にはラグジュアリーブランドからインディペンデントなブランドまで幅広く培った経験値と環境、家族、背景にいる生産者を考慮に入れた姿勢が強く反映されています。
元来の消費的なサイクルから距離を置こうとすれば、極端な話、洋服を作らないという選択肢も考えられるでしょう。しかし彼らは洋服を作り続けることで、今後のファッション業界を希望あるものへと変わっていくように心から望んでいるように僕は感じとれます。
そして、彼らの洋服を見ているとそのベースには、まだファッションという言葉が大きな意味をなさなかったころの、いわゆる労働着という存在が強いように感じます。その背景をより知っていただくためにhibiではAugust Sanderの『PEOPLE OF THE 20TH CENTURY』も店内に並べています(販売もしてますよ)

この本に写っている人々が着ている洋服は、自己を主張するためのものではなく、それぞれの生活に必要不可欠であった衣服です。それは着続け体に馴染み、体型に合わなくなれば、他の誰かへと引き継いでいく、そういう衣服です。
彼らが着ていたものが、SONOの手によってどのように現代にアップデートされているのか、そんな視点も交えるとSONOの洋服がなぜ「一生もの」になるのか、感じていただける気がします。

SELKIE SCARF 1枚目のテキスタイルと同生地の大判スカーフ。ボリュームたっぷり。

CHARIE CORT 天然顔料でオーバーダイした渋コート。ダブル仕様とフード付きなど、渋いテキスタイルに対してパターンのバランス気に入っています。

CARL COAT コットンリネンのベルベット。これは実物のほうが見応えあります。
