ここ1週間ほど猛暑が続いていますね。ロンドンの友人から「Crazy hot!」とメッセージがきていました。向こうは日本よりももっと酷いみたいですね。
そんな猛暑の中、7月1日にhibiをオープンして丸3年が経ちました。本当に沢山の方からご支援いただき感謝しております。いつもありがとうございます。

オープン当初のhibi
早いような、短いような。昨年の周年ではSAMY PRESSの展示イベントを行い、今年はデザインスタジオwellに別注でパンツを作ってもらいました。wellについてはこちらのジャーナルに紹介していますので、ぜひそちらもご覧ください。

今回は、wellが2025年コレクション"caretaker,babbles,corrider,light,uniform,enoughness"で製作した「Night shift pants」をもとに、ベルベットを使用した「velvet night shift pants」を製作してもらいました。

アーティストである長嶺慶次郎によってタイトルが名付けられた本コレクションは、ファッションというコンテキストの中で、日常という言葉が使用される際、不安や恐怖といった言葉は無視されているのではないだろうかという問題提起から始まったそうです。
デビットリンチの「ツインピークス」などにみられるごく平和な日常の中に潜む闇、不穏といった、表裏一体の現実から目を背けないように、シャイニングに登場する管理人をテーマにした音楽プロジェクト「The caretaker」から、wellも与えられたものに目立たない介入をする、両面を受け止める存在としてwellの製作そのものに、管理人という性格を見出しています。
そのコレクション内のナイトシフトパンツは、コレクティブのメンバーが当時夜勤をしていた際に、穏やかに過ごすこともあれば、急遽一大事が発生するといった内容と、管理人的な業務、穏やかな日常とダークサイドの二面性を見出し、それらをイメージしてwellが既に発表していたパジャマパンツを改良して製作されたものだそうです。

今回のベルベットナイトシフトパンツは、パジャマパンツを連想する心地良い夜の風景、またナイトシフト(夜勤)というダークサイド的イメージに加え、魅惑的で官能的なセクシーなイメージ、エレガントで上品な異なる夜を想起するベルベットという3つのベクトルをもったパンツとして製作してもらいました。

ブルジョワ的な素材をどのように飛距離をもって製作していくのか、素材との向き合い方や一般的なパースペクティブから一歩引いて、異なる視点で対象物を受容し、アウトプットするかを考えた際、真っ先に思い浮かんだのがwellでした。ベルベットというセクシーなドレスやワンピースといったどこか気張ってしまう上品なイメージを、どのようにして距離をとって自分が履きたいと思えるパンツが出来上がるかというのが起点にありました。wellが製作したナイトシフトパンツを借用し製作したことで、ベルベットに夜という視点を含めたアイテムとして、様々な解釈が可能なパンツとして出来上がったように感じています。

ラグジュアリーブランドが作るものとも、ストリートブランドが作るY2K的なものとも違う。そのどちらにも回収されない曖昧で宙吊りにされた状態に仕上がったパンツです。デヴィット・リンチが「ブルーベルベット」というタイトルで善悪の両方を描いたように、このパンツのベルベットも、様々な解釈を許容するひとつのメタファーとして存在しているように感じています。
