明日より三日間(10/10-12)にかけて、日本を拠点に活動するブランド “systemofpetrasancta” の展示販売イベントを開催いたします。
翌シーズンより、systemofpetrasancta(以下SOP)の洋服をhibiで取り扱うこととなりました。今回はそれに先立ち、SOPがこれまで制作した作品の数々を一挙に公開いたします。これまでの歩みや背景に触れながら、ブランドをより深く知っていただける時間となればと思っています。
日本には、1年間の季節を約5日間ごとに72等分して、細やかな自然の移ろいを示す「七十二候(しちじゅうにこう)」という考え方があります。元来、古代中国から伝わった暦で、日本に渡った後に何度か日本の風土に合わせて改訂が重ねられたとされています。「雷乃発声(かみなりすなわちこえをはっす)」、「蚕起食桑(かいこおきてくわをはむ)」など、日本の気候や動植物の動きを元に季節を名付け、特に江戸時代には、自然の変化を把握して農作などに役立てるための指標としても活用されていました。このように日本の自然と結びついた約5日間ごとの季節が定着したことで、俳諧や俳句の文化との親和性も高まっていったと言われています。

2024 "葭始生"

2023 "蓮始開"

2023 "雷乃発声"
SOPは、七十二候から着想を得たテーマを元に衣服を制作するプロジェクトを2023年ごろから開始しました。本来、コレクションは春夏と秋冬という大きなシーズンで区切って制作されることが一般的ですが、SOPは72の季節のひとつを抜き取り、そこを出発点として創作を始めていきます。
この話だけを聞くと、少し小難しそうな印象を持たれるかもしれません。ですが、ひとつの季節を考えることで湧き出たイメージやデザインは、一貫してデザイナー本人の実体験から生まれるものであり、同時に、着用する我々にも共感できる馴染みやすさがあります。学生時代の運動着。幼少期に着た制服。多くの人が目にしたであろう何気ない風景を、時に飛躍したテーマを交えながら形にしていきます。





本イベントの会期を七十二候で示すと「鴻雁来(こうがんきたる)」。北国から雁という鳥が越冬のために日本に渡ってくる時期を指すそうです。たとえば5年前、この時期に自分は何をしていただろう。カメラロールを見返しても、その時のことは思い出せなかった。味も覚えていないラーメンの写真だけがある。記憶はたいていひどく曖昧だとつくづく感じます。
SOPの洋服に触れることは、日本に古くから根付いていながら、いつしか忘れられそうになっている時間の感覚を取り戻すと同時に、自分自身の経験や記憶を手繰り寄せる行為でもあるのかもしれません。「装う」というアクションを通して、その背景にある時間や記憶に目を向けることもまた、豊かなファッションの楽しみ方のひとつなのだと思います。あるひとつの時期に思いを馳せながら袖を通す洋服には、どこか贅沢さがあります。

今回、店頭にはSOPが2023年ごろから七十二候に沿って制作したアーカイブアイテムをメインにラインアップいたします。翌シーズンのローンチに先駆けて、ひと足先にSOPの洋服をご覧いただける貴重な機会となります。10/10(土), 11(日)はデザイナーにも在店していただくことになりました。初日はフリードリンクもご用意しておりますので、ぜひお誘い合わせの上ご来店くださいませ。
佐々木