「System of Culture」の写真、とりわけ「Peace of Narratives」の写真をみていると、目にしたことのあるような、ないような、不思議な感覚になる。身も蓋もない情報が、一つのイメージに集約されて、謎めいたモチーフと独特なトーンをもったパラレルでもない夢のような写真たち。

こうだったかなと考えてみても、そもそも明確な意味を用意されていない。ただ委ねられたものとして存在しているのが、Peace of Narrativeの作品たち。ギャラリーや美術館の大抵の作品は、予備知識や政治的背景など文脈を通して理解しないと難しく、戸惑うことも少なくありません。そこでは、鑑賞者は多くの場合、受け手として作品に身を委ねなければ、その理解にたどり着くことが難しくなる。

それとは違い、鑑賞者が作品の意味を問う必要はなく、何を呼び起こすかを問う必要があるのが、System of Cultureの作品たち。この作品は、新しい物語を生むための、可変の、モジュール式のシステムが含まれています。繰り返し現れるモチーフ、独特なトーンの手がかり、空間の余白や曖昧さから、感覚やその時々の心情を組み合わせることで、鑑賞者自身がある種の物語作家として、独自の視点でナラティブが出来上がっていく。

鑑賞者が、その写真と見つめ合う際に、写真の物語を受け取るよりも、鑑賞者と写真とが平等で同じ場に立つことで、新しい意味が生まれてきます。

また意図的に画像の生成と順序付けにAIを使用し、作者の恣意性も排除することで、記憶としての写真、断片、あらゆる写真においての文脈から、異なる地点にモジュール的な多様性を受け入れる写真として存在しているよう。

この作品集の後半にはアーティストや、研究者、小説家といった異なる分野のスペシャリストに、写真を用いた短編小説が含まれています。多数の作家が、同じ写真を使用しながらも、全く異なるストーリーを紡ぎ上げることで、作品の領域を拡張しています。

またブックデザインは、東京を拠点にするブックデザイン及び空間デザインを行うRondadeによるもの。彼らも同様に個々のイメージのあらゆる要素をモンタージュ的に組み合わせることで、新たな意味や感情を生み出す手法を得意としています。ページに羅列する文字、タギングかグラフィックか落書きか、スクリーショット、境界が曖昧になる。

System of Culture、とりわけPeace of Narrativesと、Rondadeの響き合うデザインによって、鑑賞者それぞれの物語が立ち上がる、新たな視覚体験が詰まった作品集です。

SYSTEM OF CULTURE/Pieces of Narratives

システム・オブ・カルチャー/System of Culture
2017年に結成されたアートコレクティヴ。現在は小松利光(こまつ としみつ)のアーティストネームとして継続している。小松利光は1989年東京生まれ。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。コレクティヴ結成前、深夜のファミレスで映画やドラマ、SNSの投稿などについての雑談を毎週のようにしていたことがきっかけとなり、小松の実家の一室を使って静物写真をベースに活動を始める。

Rondade

Interact / 関係する - 冨井大裕 Motohiro Tomii

Takashi Suzuki Studio

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木原